『歴史の紛争下の背景を考える「屑拾い」としての歴史学』 藤原辰史さん講演
【感想】
杉田水脈衆議院議員は、「男女共同参画基本法は撤廃すべき」「女性差別撤廃条約は破棄すべき」「男女平等は絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」など、女性やマイノリティが半世紀をかけて積み上げてきた運動を冒涜する発言を続けてきた。
藤原さんは杉田氏の発言の根拠と背景を示し、歴史的な考察を深めようと提起をされた。
古過ぎるけれど新しい形の民族、性、マイノリティ等への差別と攻撃を政治的に必要とする人々が社会を牛耳ってきた。伝統的家族主義に固執する姿勢をみると、それが崩壊することへの危機感が強まっているのであろう。科研費と日本学術会議などが税金の無駄使いだと言い募ることで、本物の無駄遣い(軍事費)から目をそらす効果も政府にとっては好都合である。
「家族」とは何かという課題について、女性たちが考察を重ね、「伝統的」なものから少しずつ形態を変え、選択的夫婦別姓制度を含め「共に生きる」生き方を様々な形で広げてきたと思う。
フェミニズムが追求してきた「プライベートこそがポリティカル」の主旨を重んじ、「議論の解決を暴力で」という世界的な潮流を変える必要がある。罵詈雑言が益々増える中で、フェミ科研費裁判は最大の突破口として意義深く、野蛮化に抗してしっかりと事実と向き合っていくことが重要であるとのお話だった。裁判だけでは終わらない、今後の運動の積み上げがさらに問われる歴史的な課題であると思った。(Y)
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